2011年5月地盤工学会「事業継続計画に役立つ地盤改良・補強工法講習会」で講演 

 東日本大震災は、首都圏にも思わぬ被災をもたらしました。新浦安地区をはじめ各地で発生した大規模な液状化現象です。地震による直接の被害はなかったのに、住宅は傾き、ライフラインは大きな被害をうけました。広範な液状化が大きな問題として取り上げられ、事業継続を可能とするための既存構造物周囲の地盤改良(補強)工法に関心が寄せられています。
そんななか、地盤工学会では専門家をあつめて「事業継続計画(BCP)に役立つ地盤改良・補強工法」講習会を5月11日に開催しました。ここで辻田代表は、「BCP策定のポイントー事業継続戦略策定プロセスと実施運用プロセスー」について、約50名の会員に1時間の講演をおこないました。
 他の講師から、生々しい写真とデータをもとに、いくつか興味深い報告がありました。
新浦安に立地する東京ディズニーシーでは、サンドコンパクションパイル工法で地盤改良していたため、液状化はほとんど発生しなかったそうです。
 地震と津波により被災した仙台空港は、早くも1週間後に大型救援機の離発着が可能になりました。これは、2007年に地震時の緊急輸送・復旧支援の拠点空港に指定され、翌年から耐震化整備事業として、滑走路主要部分の液状化対策をすすめてきた結果とのことです。
 空港において液状化対策の効果が確認できた初めての事例、と報告されていました。
震災で、多くの構造物が破壊され、土木技術のはかなさを憂う報道が続きますが、こうして、災害に耐え、復興を支える技術が生きていた事例を知り、力強く思いました。
 ところで、地盤改良とBCPの接点について、ここに集まった多くの技術者にはなじみのないものであったと思われます。
 しかし、「地盤改良による事前対策・震災復旧」という視点に加えて、辻田代表による「非常時に事業を継続する経営戦略」という説明があって、安心安全な社会造りという大きな流れの中の地盤改良技術の位置づけが、より明確に理解していただけたのではないかと感じました。

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